諦めてもよい。また思い出せる。
過去の物語の校正が終盤を迎えている。
このお話が一冊の本という形に昇華されれば、これまでの世界が変わるくらいのことだと思う。
もちろん私個人にとって、ということに過ぎない。
他の人にとってはかなり大袈裟に響く内容だろうとも思う。
でもどんなことも、本当は個人の内側からしかはじまらない。
そこを掘り進めていくしかない。
大きな石にカツンと当たって、諦めたとしても。
続けることをやめたとしても。
本当はそれは、諦めることにはなっていない。
置いてきたものが大切なものであればあるほど、人は当然、忘れることはできない。
なぜならここにこうして、生きているのだから。
それはイコール、諦めていないということだ。
いつか再び思い出す時、それまでの時間のすべてが糧となる。
すべてのページが重なり一つとなる本という物質は、人生そのもののようであり、美しい幾何学のようでもある。
諦めてもよい。生命は続いている。
明日の命につながるのだ。
2025.9.25 末富 晶


