夢のような日々だった蘆花浅水荘での展覧会も無事に終了し、いつの間にやらもう11月。
振り返って書きたいことは色々あれど、そのほとんどがまとまらない内に日々が過ぎていく。
蘆花浅水荘でお披露目させていただいた『月下草子』というお話。その本。
50部限定の製本だったので、おかげさまで在庫はあと十数冊となっている。
展覧会のあったおかげで、その日初めてお会いした方の元にも渡っていった、アケビとカグヤの物語。
20年近くもの間、私一人の中にあったものだったから。
こういう展開を迎えて、誰か他の方の口から「アケビが」とか「カグヤが」と名前が出てくると驚いてしまう。
「なぜ知ってるの」
という気持ちなのだが、なぜも何も自分で本にして、それを読んでいただいたから知ってくださっているのだ。
もちろんそれは分かっている。
頭では分かっているが心と身体にとってはそうではないらしく、長年人知れず携えてきた日々が当たり前になりすぎていて、なかなかの衝撃をいちいち受けているのだ。
月下草子は夏からはじまり冬を迎える物語だが、それに合わせるように現実の今も夏から冬への経過の時を辿っている。
季節は巡る。
今年の春から今までが、ひとつの人生の走馬灯のように流れていく。
昨年の秋とは、全く別の世界にいる。
誰にとっても新しい春が、その先にやってくる。
「全編詩のような物語」
と、月下草子を読まれた感想を届けていただいた。
私は詩の言葉で物語を綴っていたのかと。
今更ながらに気づいている。
2025.11.9 末富 晶



